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変化のない昼休みを跨いで本日最後の授業を終えて、俺は集まる視線を振り切り、いそいそと教室を後にする。
「あばよ、叶わぬ願いを秘めた愚民ども」
いくら期待したってお前等の手にチョコレートが渡ることはない。椅子が倒れる音が重奏になって聞こえて、俺は本能的に逃げた。
今日の餓狼はしつこい。
優衣の所に逃げなかったのは致命的なミスだ。上へ上へ追い詰められていく俺、ピンチ。
せめて携帯があれば助けが呼べるのに。
「こっちに、楓君」
三階、女子トイレ。俺を呼ぶ声が聞こえた。ど、ど、どうする?
1.命が惜しい。飛び込む。
2.まだ外に繋がる窓がある。飛び込む。
3.外聞は大切だ。無視する。
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