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俺は駄目な男なんだろうか?
多分、そうなんだろう。それでもいい。俺は空いている片方の腕を御陵の背中に回して引き寄せる。この子を好きになっても構わないのなら。許されるなら。
「っ……」
ビクゥっと肩を震わせて、その華奢な身体を一層縮こませる御陵。それでも御陵は声だけはあげなかった。
俺はそれをこの行動の肯定と解釈して、女生徒達が立ち去るまでそのままの体勢でいた。
満たされた気分とはこのことなのだろうか。懐かしさが愛しさに昇華していく。
あぁ、そうか。初恋はまだ続いていたのか。そう思った。
思った俺を、御陵は拒絶する。
「どっ、どういうつもり!?」
御陵は語勢を荒げて、俺を押し退けた。
「好きなんだ……」
「こんなの冗談でもしちゃ駄目。優衣ちゃんが悲しむ!!」
「その悲しみを想像しても尚、この想いは止まらないんだ。御陵は俺が嫌い?」
「……好き」
「なら!!」
「好きだったよ。でも、こんなの違う。だって、楓君は今、優衣ちゃんを裏切ろうとしてる」
「不誠実なのは重々承知してる。解ってるけど、好きになっちゃったんだから仕方ないじゃんか」
「それなら僕も仕方ないことで裏切らるんだね。繋ぎ止められなかった方が悪いって言う人もいるかも知れないけど、でもそんなの間違ってる」
あぁ、言い返せない。言葉に詰まってしまった。ここで絶対に裏切らないと約束を訴えても、やってることが既に裏切りだ。信用を得られる理由がない。
「失望したよ……幼少の楓君に免じて、名誉の為にこの件は黙っておくけど。もう僕に関わらないで」
こうして、俺はまた一人になった。後悔はしてる。反省もしてる。
だからどうか、中の人は俺を邪の道に進ませようとしないで下さい。
【BAD_END】
ざまぁwwwwwwwwwwww
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