出会い

12/16
前へ
/75ページ
次へ
「雅」 大学の非常階段に座っていたら、松岡に声をかけられた。 「はい、コーヒー」 冷たいブラックコーヒー。 俺の好きなメーカーだ。 「松岡、講義は?」 「単位あるからいいや。ドイツ語わかんないし」 「ハハッ…確かに」 松岡が俺の隣に座った。 カチッ タバコの匂いが漂った。 「校内は禁煙だぜ」 「だな…」 注意しても、松岡は気にするそぶりもなくタバコを吸った。 「一本ちょうだい」 松岡がびっくりして、振り向いた。 「はっ!吸うの?」 びっくりして固まった松岡から、タバコを一本頂く。 「高校以来かな…」 そう言って、俺は松岡から火をもらいタバコを付けた。 フゥー 久しぶりのタバコは若干クラッときたが、噎せることはなかった。 「この間からちょっと変だぜ。知佳ちゃんも心配してる。タバコも吸うなんてな。」 「あぁ…」 わかってる。 あれから、何をしてもぼーっとしてる。 結局水族館も、その後の食事も、心あらずだった。 知佳が終始心配していた。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加