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「雅、今日飲みに行く?」
「今日はバイトだから止めとくわ」
「そっか…親父が会いたがってたけど。あと女の子も」
「ハハッ…ヨロシク言っといて」
そう言って、階段を降りた。
松岡の親父は、この辺の夜の業界では有名だ。
クラブ、ラウンジ、ホストクラブ。
幅広く飲み屋を手がけている。
松岡も少し前まではたまに、ホストクラブで働いてたみたいだ。
ほんの遊びで、週一二回出勤しただけなのに、ナンバー3に簡単になってしまったと言っていた。
『親父にバイト止めてくれって言われたわ』
松岡は笑いながら話していた。
ホスト達が社長に抗議をしたらしい。
社長の息子がいると従業員がやりづらい。
あんな簡単にナンバー入りされると、周りに示しがつかない。
そんな感じらしい。
『そりゃ、雅。銭だと思って女口説くやつより、ただの女好きが本気口説くのとは違うでしょ。しかも、俺かなりイケメンやし』
憎たらしい男前の笑顔で言っていた。
まぁ、確かにお金だと思って口説かれたら、お客は滑稽過ぎて嫌かもしれない。
だが、やりたいだけで口説くのはただの軽薄なやつなだけな気がするが…
どっちにしろ俺にとっては有り得ない。
だから俺には、夜の世界がイマイチ分からない。
まぁ、とりあえずそういうことで、今は松岡は親父さんの女の子の店に遊びに行っている。
イケメンを見ると、ホステス達はやる気になるらしい。
だから、松岡はホステス達に手を出さない条件で、タダで飲みに行ける。
僕はそれに誘われるだけだ。
たまに付き合う程度にしている。
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