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「さっちゃんは松岡君といつも何処に行くの?」
一言も喋らないさっちゃんに気を使って、知佳が話かける。
この子本当無口だなぁ。
目の前の小さな女の子を見る。
「いぇ…あの…きょ、今日がはじめてで…」
「「はぁ??」」
知佳と俺の声が重なる。
はじめててって、何処で引っ掛けたんだ?
出会い系かぁ?
松岡どこで何やってんだぁ。
呆れ顔で松岡を見る。
「ちっ、違うよ。さっちゃん語弊がある。二人きりは初めてなんだ。前やったコンパにいた女の子」
松岡は焦り気味。
ということは、今日は初めてのデートかぁ。
あれっ…でもなんで俺らと一緒なんだ?
こんな人見知りの子が、初めてデートにいく奴の友達とダブルデートするか?
自分の友達なら分かるけど。
『お願いっ、タブルデートにして。』
二日前に電話してきた松岡の必死な声を思い出す。
あの時は、苦手なタイプの女の子とデートするから、救いを求めて人のデートに邪魔するんだと思ったが。
うーん…
目の前の女の子を見る。
背は知佳と変わらない小柄な女の子。
だか、知佳よりも幼く見える。
スキニーデニムに、白のロングTシャツ。んで、スニーカーかぁ。
ファッションも変ではないが、イケてはない。
このまま大学の講習に行くみたいだ。
「そうなんだ。じゃあ緊張するよね。私も雅彦久しぶりデートなの。ちょっと緊張してるんだ」
ニコッと知佳が笑うと、さっちゃんも緊張気味に笑った。
笑うと可愛いな。
さっちゃんの笑顔を見て思った。
「よろしくね。」
知佳は明るくさっちゃんの手を握った。
知佳はまるでお姉さんだな。
知佳を微笑ましく見た。
あっ、松岡に事情を聞かないと…
「松岡お前…」
「もう着くね。」
ちょうど事情を松岡に聞こうとするタイミングで、電車が止まった。
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