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知佳の向こうに居る一人の女に目を奪われた。
!!!!
その女は俺と目が合うと、驚いたように目を見開いた。
そして、少し切なげに眉を寄せると、泣きそうな顔をした。
大きな目が涙に潤んでくると、少し困ったように笑った。
泣き笑いだ。
その瞳は俺を見つめていた。
この人混みの中、本当は俺の後ろの人を見ていたのかもしれない。
第一、初めて見た女だ。
だけど、その瞳は間違いなく俺を見つめていた。
俺はその瞳に捕われて動けなくなった。
ホームのアナウンスも、沢山の足音も、小さい子供の泣き声も、何も聞こえなくなった。
周りは何もなくて、俺と目を離せないこの女しかいなくなっていた。
「っ…○△×」
なにっ?
彼女は何を言っている?
声が聞こえない。
声が…
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