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――僕は、血を吐いたのかな。
未だに息は上がっていたが、咳は止まり、総司は少しずつ落ち着いてきていた。
総司は階段を上がったところで座り込んでいた。
すぐに、自分を呼ぶ声が聞こえた。
「総司っ大丈夫か!」
羽織りは真っ赤に染まっていた。
自分の病気のことを、誰にも知られたくはなかった。
考えるよりも先に、総司は叫んだ。
「これは返り血ですよ。血を吐いたんじゃありません。本当ですよ斎藤さん」
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