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総司の目の前には、驚いたように自分を凝視する、土方歳三がいた。
――どうしようか、困ったな。
とりあえず顔を背け、何も言わずにいた。
「何を黙っているのだ?」
土方は二、三歩総司のそばに寄り、言った。
「……」
それでも総司は何も言わなかった。
急に目頭が熱くなって、涙が出そうになった。
唇をかんでこらえたが、顔を上げることはできなかった。
「血を吐いたのか」
総司は顔を背けたまま、何も言わずにうなづいた。
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