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話はかれこれ二日前にさかのぼる。
一番隊の平隊士にすすめられ、総司は体を医者にみてもらった。
医者の見立ては労咳。
つまり結核だった。
「血を吐いたことは?」
「ありません」
総司はそう言ったが、病を楽観視はできなかった。
吐血すれば、五年と生きられないとどこかで聞いたことがあったからだ。
「…あと三年も生きられんかも知れません」
そのせいか、医者にそう告げられてもあまり落胆の色を見せなかった。
元々、悲観的にはならない男である。
少なくとも表向き、動揺はしなかった。
「そうですか。何か、心がけることはありますか?」
総司がとても明るく言ったのに、医者が驚いたほどだった。
「安静にすることです。それが一番の薬ですよ。風通しの良い、静かな場所で養生すれば、十年だって生きられるでしょうよ」
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