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「話すんですか? 近藤先生や土方さんに」
総司は焦ったように聞いた。
二人はきっと心配すると思ったから、総司はそれだけは避けたかった。
「そりゃそうだろう。君の体は大事にしないと三年ももたないんなら、今休まないと三年後困るだろう」
「三年後のことなんてわかりませんよ。今、新選組の役に立たないで、どうするんです。お願いです、みんなには内緒にしていて下さい」
斎藤はしばらく考えていた。
「ねぇ、いいでしょう? 」
総司はすがるような目で斎藤を見た。
斎藤の方も、困ったというような顔をしている。
「……わかった。総司がそこまで言うなら、黙っておこう。ただし、新選組として、敵を倒すことが困難であると判断したときには、直ちに局長初め、幹部には知らせるから、君もそのつもりでいてくれ」
「わかってますよ。でもどうもありがとう」
それから二人は新選組の屯所へ戻った。
――敵を倒すことが困難になるなんて。嫌だなぁ。
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