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家から歩いて30分と離れた本屋に行く。中に入るとあるコーナーへ一目散に向かった。そこには幾つもの雑誌があり、表紙にはアイドルや女優、人気芸人が並んでいた。俺はそんな物に目をくれずある物を探した…
コーナーの隅にひっそりと佇んでいるのを発見!すぐさま手に取りレジへ向かう。紙袋に入れてもらいお金を払うと素早く店を出た。
「…もう覚えられただろうなぁ…」
以前これを購入していた近所の本屋は顔を覚えられ、レジのオバサンが
「今日あたり来ると思ってたわよ。はい、取っておいたわよ」
なんて事があったのでそこには二度と行かなくなった。
「俺のじゃないんだけど…」
袋を開けて中を見る。表紙には派手な着物を着たオッサンが両手を広げてにこやかに笑っている。そして『月刊演歌の花道』とデカデカと書いてある。…圭は演歌ファンなのだ。
今時の若い子が好きなアイドルやJ-POPではなくド演歌が好きなのだ。周りにはその事を隠しているのでこの雑誌が発売日になると俺に買いに行かせるのだ。
「まあ、人の趣味をとやかく言えねえしな」
俺はため息をつき家路を急いだ。
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