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「よく頑張ったな、お前。」
少し涙がおさまった頃、私を抱き締めたまま先生が話し出す
「初恋だろ?三上のこと。
俺、お前が何かよからぬことを考えてねーか心配で心配で。」
そんなこと心配してくれたんだ
こんな必死に走って。
「先生、ありがとう…」
「おう…。
三上から全部聞いたよ
俺じゃ何にも出来ないから広大さんにまこをお願いしますだってさ。
最低だな、あいつ」
「別に…いいんです。」
「はっ?
いい、って何がだよ!
お前、ムカつかねーのかよ?
あんなひどいことされて。」
急に高柳先生が不機嫌になったのが分かった
「もう…いいんですよ」
でも私はそれに動じないで淡々と話す
「あっ?」
「幸せでしたから。
三上先生を好きになれて。
だって、抱き締められたりキスされたり…
奈央さんを想ってでも私にとっては好きな人と出来たわけですから。
ちょっと幸せって思えてる自分もいるんです。
デブスな私には二度と出来ない経験でしたから
だからいいんです」
これは本心。
たしかに最悪な恋ではあったけど幸せなこともあったんだ。
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