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「暗いから気をつけて」
そう言って私の手を握る
「手、離さないでね」
緊張で汗ばんでるので先生に申し訳なくなる
そのまま少し歩いて、たどり着いたのは大きな木の前
暗くてよく見えないけど太い幹があるのは分かった
「ちょっと待ってて。」
先生が私の手を離してどこかへ行ってしまう
私は少しビクビクながら先生の帰りを待つ
「ごめんごめん」
先生はすぐに戻ってきた
なにしてたんだろう…?
「この木をよく見ててね」
よく分からないが言われたとおり木を見る
「10、9、8、…」
先生がカウントダウンしだす
「3、2、1、…」
ぱぁぁぁぁぁぁぁ
「うわぁ…」
私は目の前の光景に絶句する
この木、いや桜の木が真っ暗な空間の中に、ピンクや黄色のライトで電飾されたイルミネーションとともに浮かび上がってきたのだ
まるで桜の木のクリスマスツリーみたいだった
私はただただ見とれる
「ほら、まこ落ち込んでたじゃん?
もしかしたらこれ見たら喜ぶかなぁ、って」
三上先生…
気にしててくれたんだ
胸がじーんとする
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