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先生の長くて綺麗な指が優しく私の唇を撫でる
「ほんと、ごめん」
「…………っ!」
いけないのにドキドキしてしまう
でもそれと同時に沸き上がる汚い感情。
三上先生は女慣れしてる
きっと、どうしたら女の子が許してくれるかを熟知してる
もう振り回されちゃだめだ
だめなんだ!
私は唇を触る腕を振り払う
「許せません…。」
振り払ったわりにはか細い声がでた
「………………」
「先生、泣いてる私を抱きしめてくれたこととか、桜を見せてくれたこととか、…
全部全部奈央さんと重ねてたんですか?」
声が震える
答えを聞くのが怖い
違うって言って、先生。
黙ってないで、何か言ってよ!
「………………」
でも私の願いも虚しく先生は何も答えない
「最低ですよ…。
好きなのに…。
先生のこと好きなのに!」
勢いでいってしまった言葉。
先生が目を開くのが分かった
私は気まずくなってバスを飛び出す
でも、先生が追ってくる様子はなかった
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