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数年ぶりに自分の顔を見た清春は一瞬、変わり過ぎた自分の顔を見た。
清春が最後に鏡で自分の顔を見たのは、小学3年生の時だ。
しかし清春はすぐに鏡に写る自分の顔から目をそらすと、顔中にセッケンを塗りたくった。
そして洗面所に置いてあった、亡くなった父親が使っていたサビだらけのヒゲ剃りの刃を頬に押し当てた。
「……痛っ」
生まれて初めてヒゲを剃ろうとした清春は、頬を軽く切ってしまった。
血がセッケンの泡と混じりながら頬を伝って行く。
しかし清春は気に止める様子もなく、ヒゲを剃る行為を素早く進めていった。
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