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恐る恐る見上げると、そこにいたのは――変態とは思えないほどの美青年だった。
サラサラした落ち着いた色の茶髪には天使の輪。
くっきりした目鼻立ち。
髪と同じ色の眉の下から、切れ長の涼やかな目が詩織を見つめる。
形のよい薄い唇が、ふぅっと疲れたように息を吐いた。
詩織が暴れたせいで無数の傷が頬についていたけど、それすら絵になるような。
首から下げた十字架がチャラ、とチェーンを伝い、詩織の目の前で揺れた。
追いかけられた恐怖など忘れるくらい綺麗な男。
えーと。
――父親?
だってこの子が――
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