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ピンクやオレンジ、キラキラ瞬く街を彩る華やかなイルミネーションを、12月の寒さにくっついて暖め合うカップル達越しに眺めた。きっと幸せそうな彼女たちから見たら恨めしそうな顔で。 クリスマスイブの公園にはどこからか楽しげな音楽が流れ込む。それを遠くに聞きながら、もう一度携帯電話を開く。 着信も、メールもなし。 クリスマスムード満点の街とは裏腹に心に寒い木枯らしが吹く。 1人身震いしながら女――河合 詩織は昨夜自分が送ったメールを読み返した。 『To アキラ イブの日、あの公園のイルミネーションの前で待ってる。 来れたらでいいから来てね。          詩織』
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