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「ねぇ、今日の掃除当番代わってもらえる?あたしバイトがあってさぁ」
「で、でも…昨日も代わったし…一昨日も…」
「あんたどうせ暇でしょ?ならいいじゃない代わってくれたって」
「でも…今日は委員会が…」
「どうせ誰も来ないわよ。じゃ、あとよろしくぅ」
「はぁ…」
某都立高校に通う2年生の春。クラスメイトの女子達に今日も掃除当番を押し付けられ、1人放課後の教室で私は溜め息を吐くことしか出来なかった。
「今日も断れなかったな…」
今日はこれから委員会の集まりがある。とは言っても殆どの生徒はサボって来ないだろうから、私が行かなければきっと始まらないだろう。
とりあえず私以外の人は帰ってしまったので私が掃除をするしかない。時計を確認すると委員会が始まるまであと15分もなかった。
「間に合うかな…」
考えていても仕方がない。そう思って掃除用具の入っているロッカーからほうきを取り出し、教室の床を丁寧に掃いていく。
しばらくすると、ガラッと教室のドアが開く音がした。
「あ…」
そこに居たのはクラスメイトのとある男子。だらしなく制服のシャツを出し、髪を暗めの紫紺色に染め、耳にはいくつもピアスをしている。授業はよくサボっており決して真面目ではないがクラスでは何故か人気がある。名前は…
「…おい」
「は、はい!?」
突然、話し掛けられ私は驚いて声が裏返ってしまった。慌てて彼の方に目をやると少し不機嫌そうに私を睨んでいた。
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