二人の総司

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【沖田視点】 「総司~」 「ん?」 刀の手入れをしていた沖田は自分の名前を呼ばれ閉じている障子に目を向ける。 声は中庭からした。 「あの子が総司って呼ぶなんて……」 疑問符を浮かべつつ刀の手入れを終え、立ち上がる。 あの声を僕が聞き間違えるはずがない。 障子を開けて廊下に出れば、予想していた人物は居た。 「……明日華君 何?“それ”」 沖田が指差したそれとは茶色い犬のことである。 「この子ですか? 実は副長が拾ってきたんです」 嫌な予感がする…… 「ちなみに名前は?」 「総司です」 やっぱり…… 「仕返しなんて子供染みたまねするんだね……土方さんって……」 沖田はクシャリと前髪をかきあげる。 「副長曰く、飄々とした生意気な感じと茶色の毛を見て総司って名前しか思いつかなかったそうです」 「そうなんだ……」 絶対仕返しだよね…… 沖田はそんなことを思いつつも自分と同じ名前を持つ犬を見つめる。
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