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けど、その殺した人の分まで今を生き前を向いていれば恨みはしない。
逆にそうしていない方が恨まれる。
そう、ウチの親方。 武田信玄は言った。
単に綺麗事かも知れないけどそう言われないよりはマシに生きていける。
そして生きて飯を食っていけてる。
生きてる有り難みが分かったからな。
そんな俺は今、ありがた~く思いながら茶店の団子をご馳走になっていた。
「やっぱ、ばっちゃんトコの団子が一番美味いや!」
「そーかい、武将様に仕える若い武士さんにそう言って貰えて嬉しいよ。
そうだ、桜を呼んでくるから待っといておくれ。」
「あっいや、ばっちゃんそれは……」
「桜や~い、いつもの武士さん来とるよ~~。」
大きな声で一声言うと茶店の奥からドタバタとばっちゃんの甥っ子がやってくる。
「い、いらっしゃい!」
「さ、桜さん……じゃなくって桜殿……」
「また、来て入らしてたんですか。」
「ええ……まぁ……」
まずい、早期撤退しないと!
慌てて団子を食べるスピードを上げて間食。
「では、まだやらねばならない事があるのでこれで失敬……ってどわっ!」
去ろうとする俺の袖をガッチリ掴む。
「まっ、待って下さいまし!」
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