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朴念仁と空回りの恋心
温室外にて
「落ち着いて雫ちゃん。はい、深呼吸してください」
「すーはー、すーはー」
「落ち着きました?」
「うん。で、でもやっぱり不安だよー。」
すでに半泣きの月本雫。
「だ、だって手作りチョコな上にハ、ハートの形なんて・・・ちょっと露骨すぎないかなー?」
いつもどおり自信なさ気で心配性の雫。それを励ます黒井黄泉。
「大丈夫ですよ!むしろそれ位でちょうどいいと思いますよ!」
グっとこぶしを握る幽霊少女の黄泉。
「う、うん・・・じゃ、じゃあ行ってくるね?」
「はい!私はここで待ってますね!」
温室に向かう雫にちぎれんばかりに手を振る黄泉。
「し、失礼します」
おずおずと温室に入る雫。冬でも温室内は暖かい。そしてここにいつもいるのは一人くらいしかいない。
「ん?やあ、ツッキーじゃない、いらっしゃーい」
人畜無害を絵に書いたような笑みで迎える草壁薫。
「今日も水遣りの手伝いに来てくれたの?ツッキーも植物好きだねー」
「え、えぇまぁ。そんなところです」
声が上ずる雫、顔も真っ赤である。
「顔赤いよ?風邪かい?」
「え?いや、全然風邪じゃないですよ!?」
「そう?赤面性かな?」
またも微笑む薫、そして薫が微笑むたびにどんどん顔が赤くなっていく雫。
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