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「着いた~」
廃ビルに着いて、シャルが気の抜けた声をもらす。
俺の家からここまで歩いて三十分程度だから、次元の穴が開くまで後一時間も無いぐらい。
「よっ、シロン」
「見送りに来たぜ」
「二人とも…」
先に真田と伊織がいて、入り口の前で待っていた。
「よし、じゃあ屋上に行こうか」
ロイが言って、屋上へ進んでいく後を俺達は追った。
そして屋上に出ると、冷たい風が吹き抜け、俺は身震いする。
だって、下は長ズボンだけど、上はTシャツに長袖の上着を羽織ってるけど、夏服だから薄い。
他のみんなも同じような格好なのに、寒くないみたい。
やっぱ体毛があるから?
よし、心頭滅却すれば、火もまた涼しって言うし、心を無にしたら寒くない!…よね?
「なぁシロン、穴が開くのはいつだ?」
「ん?後三十分程度だと思う」
「そっか…じゃあ、みんなで写真撮ろうぜ」
「写真?いいね!」
写真なんて最近撮ってないし、思い出になるしね。
「じゃあみんな並んで」
「おう!」
そういってみんな俺のまわりに並び始めた。
真田は携帯のカメラを使ってタイマーモードにして、ちょうどいい高さの岩の上に置いてセットした。
セットしてボタンを押したら真田が俺の隣へ。
伊織も俺の隣へ来て、二人は俺を挟むように立って、肩を組んでピースした。
母さんがその隣へ。
ハーツのみんなは俺の後ろに並んだ。
ピッ…ピッ…ピッ…カシャッ!
カメラのシャッター音が辺りに響いた。
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