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「ん…」
頬に冷たい土の感触で俺は気が付き、目を開く。
視界の真ん中に見える銀色の毛に覆われた鼻先で、俺は獣人に戻った事が分かった。
「よいしょっと…てか、ここどこ…?」
立ち上がって周りを見回したら、どこかの森みたいだ。
とりあえず、この森を抜けたら分かるかな?
『みんな~、どこ~?』
………
魔導器でみんなに呼び掛けてみるけど反応無し。
圏外かな?
てか、この魔導器に圏外とかあるの…?
…まぁいいや、今は森を抜けることだけ考えよう。
俺はとりあえず、光が見える方に向かって歩き出した。
「ふぅ、やっと抜けた~」
歩き出して数分後、なんとか森を抜けることが出来た。
抜けて目の前に広がった景色は、渓谷。
タルミナ渓谷の違う入り口かな?
確か地図でタルミナ渓谷は、俺達が突入した入り口から反対側にもう一つ、入り口があり、すぐ近くに森があった。
って事は、さっきの森がその森って事で、この渓谷を進めばみんなに会えるかもしれない。
でも、一人で進むのは少し心細いな。
それでも行かないとみんなに会えない。
「…ま、なんとかなるでしょ」
俺は呟き、渓谷へ踏み出した。
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