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目を開くと、そこは上も下も、前も後ろも一面灰色の世界。
おかしいな、さっきまで船の上にいたハズなのに。
でも一応透明な地面はあるみたい。
地面に立っているような感覚はする。
そのまま前に進んでみる。
けど、何も変化は無い。
ここはどこなんだろう…
「おーーい!!!誰かいないのー!!!」
精一杯声を張り上げて叫んでみるけど、これまた変化無し。
てか、声が反響したりもしない。
するといきなり世界が灰色から真っ黒に変わり、後ろに何かの気配を感じ、後ろを振り返るとそこにあの渓谷で謎の言葉を残した黒いローブの姿。
『お前の渡り鳥の力を感じているか?』
「ッ…グッ!!?」
再び黒いローブの奴が俺の頭に直接、同じ事を語り掛けてきた。
すると突然右腕の肘辺りが物凄く熱くなる。
あの渡り鳥の羽の模様があるとこだ!
クソッ…熱い…熱い…熱い!!
俺がそこを押さえて悶えていると、黒いローブの奴がゆっくり近付いてきて、右手を高く振り上げる。
その手に持っているのは鈍く光を放つ剣。
そいつは俺の目の前まで来ると、それをゆっくり俺に向かって振り下ろし…
「ッ!!あれ…」
意識が一瞬途切れたかと思うと、目の前には星の光が輝く水面。
夢…だったのか?
夢を見ていた間に夜になってたみたいだ。
少し冷や汗をかいてたみたいで全身の毛が湿ってる感じがして肌寒い。
俺はそそくさと船の中に入り、夕食を食べてからシャワーでも浴びて休む事にした。
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