‐ドア‐

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まずライムを8分の1カット、グラスの淵にあてて一周させる。 それからライムをバースプーンで軽く絞りグラスに入れる。 そこからアイスを入れて、 男性の方には タンカレーNo,10を40ml トニックウォーターでUP 女性の方は ボンベイサファイヤを40ml トニックウォーターでUP どちらもビルドで作る。 「お待たせしました。 ジントニックです。 …お二人ともそんなにかしこまらないでください。 もっとラフでいいのですよ? 誰の目を気にすることもありません。 あの重厚なドアをあけたならば、ここはもうお客様達の第2の家で、私の事は使用人くらいに思っていただいて構いませんよ。 ほら、執事みたいでしょ?」 かしこまって飲もうとする二人に冗談をいい、リラックスさせようとした。 二人は笑みをこぼし、顔を見合わせ笑い合った。 「使用人はいいすぎですよ! でも少し緊張がほぐれました。 それじゃ、いただきます」 少しの間しか見ていないが、この2人はきっと、とても仲がいいのだろう。 手の癖が同じだったり、頷いたり、仕種やタイミングが同じだからだ。 「…おいしい!」 同じタイミングで同じ言葉を言った。 「そういって頂いて光栄です。 是非飲み比べてください」 同じジントニックでもベースのジンの種類を変えるとまったく別のカクテルのように感じられる。 ここがカクテルの深いポイントである。 ジンという囲いの中でも沢山の種類があり、大体の物はどういったジンなのか知っておく必要がある。 ジン、ウォッカ、ラム、テキーラの4種のスピリッツはそれぞれに沢山の銘柄がある。 同じカクテルでもベースの種類を変えると名前が変わるカクテルなんかもあり、全てを覚えるのは至難の技といえるだろう。
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