第一章

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―コンコン 「サキちゃん?入るよ?」 ドアをゆっくり開けながら部屋に入ると、サキちゃんが苦しそうにせきをしていた。 「!サキちゃん!」 俺はあわてて彼のもとへかけよる。 「ゴホッ!ア・・カバ・ケホッ!ちゃん?」 「大丈夫?」 俺は持ってきたお粥をとりあえず床に置き、サキちゃんの背中をさする。 「ゴホッゴホだい・・じょゴホッ!コホッぶ・・ゴホッコホッ!」 しばらくせきこんでいたが、だんだんとせきは落ち着いてきた。と思ったら今度はヒューヒューと苦しそうに喉を鳴らし始めた。 まずい!発作だ! 俺は次の症状が出る前に急いで薬を飲ませなきゃ!と枕元の薬に手を伸ばした。 「サキちゃん!はい!薬!」 薬を差し出すけど、なかなか受け取らないサキちゃん。 「ア・・・カバ・・・ちゃん、み・・・ケホッ!・・ず。」 あっそうか! 俺は慌ててベッド向かい側の冷蔵庫に水をとりにいった。 戻ってくるとサキちゃんは胸を押さえて苦しそうにしていた。 「サキちゃん!水だよ!」 「・・・・・・ッ!」 声をかけるけど、苦しそうに胸を押さえてるだけ。 やばい! そう感じた俺は、無理やりサキちゃんの顔をあげ、薬と水を口におしこんだ。 サキちゃんの喉が軽く動き、飲み込んだことを確認した俺はひと安心。 しばらく様子を見ていると、サキちゃんの容態は安定してきた。 「・・・ッ・・ハアごめんね、アカバちゃん。ありがとう」 熱のせいなのかさっきの発作のせいか、汗をかいて顔を赤くしながらサキちゃんが言った。 「気にしないでよーって。お粥もってきたから食べよ?あ、その前に熱計って。」 俺はサキちゃんに枕元の体温計を渡した。
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