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サキちゃんは心臓が悪い。さっきのヒューヒューって呼吸は発作が起きる前兆みたいなもの。発作時はもちろん定期的に薬を飲まなきゃいけないし、心臓が悪いせいで体調もくずしやすいからサキちゃんは大変だと思う。
前、俺がサキちゃんに、その話をした時、サキちゃんは、すっごく悲しそうなつらそうな表情で、これが俺の運命だからって言ってて、俺はそれ以上なにも言えなくなった。
ピピピ
体温計が鳴った。サキちゃんから体温計を受け取って、数字を見てみる。
「さんじゅう、はちど、はちぶ。」
・・・もう昼近くだから熱上がったんだろーな。
「アカバちゃん、ごめんね。いっつもこの時期になるとこんなに熱だして・・・」
サキちゃんが、つらいだろうに体を起こして謝ってきた。
「サキちゃんが謝る必要は全然ないの!今は体治すことだけ考えて?」
でも・・・と言いかけてサキちゃんはうつ向いた。よくみると肩が小さく震えて、手はベッドの布団をぎゅっと握りしめてる。
ふわっ
俺はそんなサキちゃんをぎゅっと抱き締めた。
「俺たちはそんなことこれっぽっちも気にしてないんだから、サキちゃんが気にする必要全然ないんだよ?」
「ふ・・・ごめ・・・グス・・・めんね・・・っ」
俺はサキちゃんが泣き止むまで彼の細い体を抱き締め続けた。
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