第一章

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「なにって、サキくん熱あるよ?」 「・・・え?」 「え、じゃなくて。ほら熱計って。」 俺は枕元に常備してある体温計を彼に渡す。 「・・・いや、だいじょうぶ。」 そう言って無理やり体を起こそうとする。 ・・・がやっぱり自分で体を支えきれなかったのかふらついた体を慌てて支える。 「大丈夫じゃないじゃん。ほら、計って。」 俺がそういうとサキくんはしぶしぶ体温計をうけとって体温を計り始めた。 サキくんが熱計ってる間に準備しとくか。 俺はサキ君を支えてたてをはずしてゆっくりと彼をベッドに寝かし、ベッドからでて、反対側にある机に向かった。 サキ君と俺の部屋には、二段ベッドとそれぞれの机の他に、ベッドの反対側に置かれた机とその隣に冷蔵庫。それから小さめの洗面台がある。 机の元まできた俺は、まず机の上に置いてある氷枕と洗面器を用意した。 それから冷蔵庫から氷をだし、氷枕を作り、洗面器に氷水をはりタオルを取り出す。 ―ピピピッ 一通り準備が終わったところで体温計が鳴ったため、用意したものをもって彼の元へ。 「ほら、体温計見せて。」 「・・・ん。」 さっきとは違い今度は素直に体温計を渡してきた。 さっきより若干赤みが増したのは気のせいではないだろう。 「・・・37度8分」 体温計にしめされた数字に軽くため息をつく。 「・・・ごめん。」 サキくんが泣きそうな顔をして謝ってきた。 サキくんが悪いわけじゃないのに・・・ 「気にすんなって。今は季節の変わり目だからしょうがないよ。今日は依頼もないんだろ?ゆっくり休みなよ。」 「でも・・・ジンだって昨日の今日なのに・・・」 「俺のことは気にしなくていいから。もう大丈夫だし。」 「でも・・・!ゴホッ!ゴホッ」 「でもじゃない!ほらせきもでてきたからもう寝な」 俺がそう言うとサキくんは、ごめんね、と小さくいって目を閉じた。 やっぱりきつかったのだろう。すぐに寝息をたてはじめた彼の閉じられた目からは涙が一筋伝っていた。 眠りについたサキくんを起こさないように頭の下に氷枕を置き、タオルで汗を軽くふき、洗面器にはられたみずでタオルをぬらしたあと、彼の額に乗せた。
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