第一章

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サキくんはしょっちゅう熱をだす。特に今みたいな季節の変わり目は、元気な日の方が少ないんじゃないかってくらい体調をくずしやすい。だからこそ俺達の部屋には、サキくんがいつ熱をだしてもいいように必要なものがそろっている。 でも、彼は具合が悪いことを俺らに言わない。なぜかは知らないけど。 しかも熱をだすと必ず泣く。それでごめんね、とつらそうな顔で謝る。なにが彼をそこまで追い詰めるのかは分からないけど、俺はそんなサキくんを見るたびに守りたいと思う。 だって、今の俺があるのはサキくんのおかげだから。 それに毎月やってくる新月の日の苦しみを取り除いてくれるのも彼。 俺を救って守ってくれてるからこそ俺は彼を全力で守りたい。だから・・・ 「泣くなよ・・・」 眠る彼の頭を軽くなでて、俺は部屋をでた。
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