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それから俺達家族は逃亡生活を続けざるを得なくなった。
親父は魔王を倒したんだから降り注ぐ火の粉を払うくらいの力はあったはずだがそれをしなかった。なぜかはわからないし、今はもう問いただすこともできない。
逃亡生活の中で、俺は、お袋と親父とはぐれ、気づけば『王都フロントパレス』にて魔女裁判が開かれ、親父とお袋が処刑されたということを知らせる紙切れを俺は涙で濡らしていた。
あとで気付いたことだが、親父たちとは逸れたのではなく、わざとこの北の大地に俺を置いていったのだった。
そうだった。
天涯孤独となったあの知らせが届いた日もこんな冬の始まりだった。
外では雪がシンシンと振り続ける。さっきまでは少し吹雪いていたようだが、風は収まったようだ。
どうやら、
ワインのコレクションを諦めるには、まだ早いらしい。
★ ★ ★
「おいおい、なんでこんな代物がこんな山奥にあるんだよ。『白銀の茨』を越えてきた甲斐があったってもんだ。おい、お前も一杯どうだ?ルリル産30年物なんて一生で何度もある出会いじゃねーぞ」
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