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俺が生まれる10程前。
魔王の炎と、親父の炎がぶつかった。
時に相手の炎を焼きつくし、時に相手の炎を燃え盛らせた。
辛くも魔王を滅ぼした親父に世界中から賛美が送られたという。
でも、俺はそんなの信じられないね。だって俺が生まれ物心ついた頃にはもう親父は魔王2世と呼ばれていた。
「炎の魔術はやがて再び惨禍を巻き起こす」
魔王と同じ力を持つ救世主は、下らない平和がもたらした愚鈍な恐怖により魔王2世となった。
『-heroic blood- 』
和訳を『英雄の血』。
現代訳『魔王の血』。
炎の魔法を扱う者の総称であり、恐怖の対象。
「俺にはマッチが必要がないんだ。だけど普通の人間はこの地に来ればマッチが必要だろ?」
それがうちの完全無欠にして唯一の防犯機能なのさ。
カイン=イーストが暖炉に右手を向けて指を鳴らす。
右手から発せられた火の粉が、薪に降りかかったかと思うと炎が勢いよく舞い上がった。
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