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「まさか、こんな北の奥地で賢者様に出会うとはな。まあ俺も魔道師のはしくれ、敬意を払うぜ。だからといっちゃなんだが・・・・・取引しねぇか?」
「取引?」
「命は助けてやるから、この縄をほどいてくれや」
「・・・・・・断る。お前は今すぐにでも出て行ってもらう。幸い吹雪もやんだからな、2時間も歩けば村につくだろう」
「おいおい、賢者昇格試験の時に誓わなかったか?汝、その力を民の為に行使せよって」
「強盗詐欺に一民としての利があると思うなよ」
「ぶっは!ちげぇねぇ!だが、後悔すんなよ?」
後悔という言葉には急激に敏感になってはいる。
だからこそ、後悔しない道を選ぶのだ。
この男、シルフをここに置いておく方が後々後悔する確立は大きいに決まってる。俺は無信教の確立信者なのだ。
褐色に赤みががったチェックのコートをクローゼットから取り出し、白装束をシルフに向かって放り投げる。
「今から『白銀の茨』まで連れて行く。そこまで行けばもう二度とここには戻ってこれないだろう」
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