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北方領土グッドラックの海岸沿い全てに視野を持つという、流れ着いた物全てを把握する『漂流観測所』。 大半はゴミと表現しても問題ない物が流れ着くが、時にその内容がオリーズ王国、ひいては全世界に報じられることもある。 その最たる例は、流氷の中で1万年の時を越えた巨大像であろう。漂流観測所が『グランモスク』と名付けた怪物の肉体は1万年の時を越えた現在でも活動するのに十分な状態であったらしい。 心臓が動けばグッドラックを滅ぼすことくらい朝飯前よろしく寝起きの寝ぼけすけでも余裕の筋肉と魔力を持ちあわすグランモスクは、未だ絶対零度の氷の中だ。 科学者達が研究したくともその氷を溶かすことができないのである。 他にも魔力を帯びた鱗が発見されて、人魚の鱗だと判断されたという噂を聞いたことがある。 気まぐれにそんな大発見をする漂流観測所にシルフ=ドラフトは用があるらしい。 「『-only memory- 』って知ってっか?」
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