【prologue】

8/12
前へ
/53ページ
次へ
それまでこの世界には、白魔術、黒魔術、しかなかった。 白魔術は光と水を元素とした魔法。 黒魔術は闇と重力を元素とした魔法。 今回の小火騒ぎはそのどちらにも属さない炎を魔術とした魔法であった。 当時、その炎魔法を使った青年の炎は、偉大なる始まりの炎とか、生命を育む無限の光とか、邪悪を罰する捌きの光とか言われて、そりゃもう大変な騒ぎだったそうだ。 特に、王立の魔道書院とかギルドはこぞってその青年の加入を要請したんだけど、その青年はどの団体にも属することはなかった。 なぜなら、その青年の夢は世界征服だったから。 そう、捌きの光どころか、全てを侵略する力を持つ邪悪なる炎だったのだ。 世界征服なんて突拍子ないことのようだが、青年は世界征服を声明する前にその準備をしっかりした。 小火騒ぎもその一環。 小火騒ぎで焼死体造りと火葬を同時に施された3人は『オリーズ王国』でも指折りの魔道師だった。 英雄豪傑、佳人才子、英姿颯爽だなんて表現されて人気も抜群の3人。 コマーシャルとしては抜群の威力を発揮した。そして、物好きが集まった魔王軍なるものを作った。 ほとほと迷惑な話である。 そして、なにを隠そう俺の親父はその魔王を倒した英雄・ゴリテラル=イーストなのである。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加