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おっと、昔話も程ほどにしないとホントに引き金を引かれかねない。
「おいこら、聞いてんのか?ワインだよワイン。ねーならラム酒でもよし」
俺は両手両足を縛られているので、顎で暖炉脇の地下室への階段を示した。
「なるほど、地下室はワインセラーになってるってわけか。いいね」
そういって、強盗は脱ぎ捨てていた白い魔道師装束をはおる。
「じゃあ、ちょっくらいってくるから大人しくしてなよ」
そういいながら拳銃を俺に向ける。こいつには白魔道師としての誇りはないらしい。神も仏もあったもんじゃない。
カンカンカン―――
強盗がリビングから地下室へ向かった。
それにしても冬の始まりはいつもろくなことがない。親父の通り名が英雄から魔王2世に変わったのも10年前の冬の始まりだった。
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