夜行の蜂

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*  ヤとは昼を挟んだ二つの暗い時間。  コウとは交差する十字路であり長い行列。  すなわちヤコウとは、「生と死を行き交うモノ」に他ならない。  命を流れる川としたならば、人の赤子は川の上流に、獣は水の湧く泉に、死者は海の向こうにその身を置くだろう。  ならば、『夜行』が運ぶ『輿』は川を流れる水そのものだ。  永遠の生と一瞬の死。それはいつでも等しい。  ゆえに、人はそのどちらかだけを選ぶことはできない。  
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