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「すみません、今消しました」一郎は背中越しにいる隣人に返事を返す。 「だいたい公共の場で喫煙なんて失礼でしょう。自分の家ではないのですよ」 「ええ、そうですね。すみませんでした」自分に非がある一郎は恐縮するしかない。 「だから喫煙者はダメなんですよ。他人に迷惑をかけることを屁とも思ってない」 「こんな時間だし、誰もいないと思ったんです。反省してます」 「それが理由になりますか? 不特定多数が利用するんですよ。非喫煙者も利用する。子供だって利用する。子供は大人の真似をして成長するんです。大人が悪い手本になってどうするんですか? そんな大人に価値はありません。そこに灰皿がありますか? ないということは喫煙所ではないということです。吸い殻をどうするつもりなんです?」
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