山田

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今は昔みたく周りの警戒心が強すぎて幼女を誘拐できず、なかなか欲求が満たされないようで、映像や写真で処理しているようだけど、その中に昔の私のあられもない写真が含まれているのを知った時は、燃やした。悪いとはこれっぽっちも思っていない。ちゃんと他の子の物は残してあげたんだから、むしろ感謝してほしいものだ。 ちなみにそれが山田の大のお気に入りだったようで、いい年した大人が泣きわめく姿にはかなり引いた。 なんで、私こいつと一緒にいるんだろう。 ……ああ、出て行こうと決心して、夜中に決行したら、プレハブ小屋に監禁されて、なんか屈辱的なことされて。 何故か断片的にしか思い出せないけど、あの時の山田はずっと泣いているのに、行動は非人間的で恐怖しか感じなかった。 「アキちゃーん、醤油どこに置いてたっけ?」 こんなちゃらんぽらんな男なのに。 フライパンを持って近づいてきた山田の頭をバシッと叩くと、「いた~い」とへらへら笑いながら私の手を引いていく。 「今日は野菜炒めだよ」 「そう」 「あ、卵。今日ので切れちゃった」 「じゃあ買いに行かないと」 「一緒にね!」 居住兼移動手段のワゴン車に乗り込むと、山田はいそいそとフライパンを置き、運転席へ。 「まだスーパー開いてないよ」 「あ、そっか」 山田という男は奇妙な者だ。
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