カカオの香に抱かれながら

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微かに聞こえるその音に体が反応した。 しまった寝坊した。 だがそれは寝坊などではなく、日常的に染み付いた条件反射であるなどその時は気が付きもしなかった。 「まだ……六時だが?」 起き上がった理子に不機嫌そうに目を向けた男に気がついて思わずひっと叫びそうになる。それが悪かったのか男はもっと不機嫌な顔になる。 「いい加減……俺の顔で驚くな」 しかし、一度染み付いた習慣というものは簡単に払拭できない。その人が自身の恋人であると理解した上でもだ。 「す、すいません」 理子は小さく謝った。 そして自身が何も着ていないことに気が付き、違う意味で叫びそうになる。慌てて近くのシーツで身を隠すと、まだ寝ぼけたような男は皮肉に笑って手を伸ばした。 「どうして隠す?」
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