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その頃真一は教室を出た後だった。
真一が入った途端教室は静まりかえる。
そこで向けられるのは何故か嘲笑を含んだ視線だった。
そして真由子の他に愛、恵、紗耶香がいない。
真一は首を捻りながらも教室を出ようと背を向けた瞬間だった。
真一の背中に何かが当たる。
振り返ると紙切れを投げられたようだった。
それを広げてみるとそこにはパソコンで打ったした文字で
『いいの?こんなとこで油売ってて。味方、一人死んじゃったよ。』
その意味深な文章に真一は固まる。
味方が死ぬなど、まるでSF映画やゲームをしているような口ぶりだ。
そして後ろを見ると真一は足に百足がはい上がるような恐怖を覚えた。
クラス全員が、自分を見ていた。
子供独特のゲームを楽しんでいるような無邪気な笑顔で。
誰が投げた
そんなこと聞けなかった。
その視線はまるで、
全員で投げたんだよ
そう返ってくる返事のようだった。
真一はこれをどこかで見たことがある。
わからないけどそんな言いようのない恐怖を覚え、教室を立ち去った。
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