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追われているわけでもないのに足が早まる。
まるで後ろに誰かがくっついてくる感覚がしたから。
そんなはずはないのに。
誰もいないのに。
真一は顔面蒼白で廊下を歩いていた。
「――先生!倉本先生!!」
その声で真一は我に帰る。
後ろを振り返るとはるか後ろに隣のクラスの松林(マツバヤシ)先生が走ってきていた。
「はぁ……、はぁ。先生、速いです。」
松林はか細い体を震わせて茶色い肩まである髪を後ろへ流した。
「すいません……。なんかあったんですか?」
真一がそう声をかけると松林は思い出したように口を開いた。
「緊急の職員会議です!山内先生が逮捕されて……!」
「なんですって!?一体なんで……。」
「詳しくは会議で…!!」
そう言うと松林と真一は職員室へ向かって走り出した。
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