二年一組

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真一は今度は引き攣りそうな顔を一生懸命笑顔を張り付け教卓へ向かった。 「もうショートホームルームの時間だぞ。席に着けー。」 そう言うと生徒たちは会話しながらも席に着き、真一を見る。 いや、眺めると言った方が正しいのかもしれない。 真一は背後に視線を感じながらも黒板に向かい、自分の名前を書いた。 「――。倉本真一。24歳だ。一応桜花の二組出身。新任……。」 そこまで言った時だった。 「二組とか、別に自慢できないし、ここ一組だよ来るとこ間違ったんじゃない?セーンセ」 誰かが口を開く。 それに周りは固まるどころかクスクスと笑っていた。 真一は少し固まるが、また言い直す。 「そうか、君達は一組だもんな。まぁちゃんと大学も出てるぞ。さあ授業をしようか。一時間目は俺の数学だ。さぁ、教科書を出して。」 そう言いながら教科書を開くと、一般では高校卒業時でも難しいはずの、長い数式がのっていた。 それをスラスラ解けるレベルの生徒だというのが驚きだ。 「では問いの3を……。真由子、末永真由子(スエナガマユコ)いってみようか。」 その生徒の席を見ると、長い髪を上でおだんごに纏めている明らかに不機嫌な少女がいた。 そして無言で席を立つ。 黒板へ向かうと、一度は躊躇するはずの問題をサラサラと書いてみせた。
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