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それからというもの…今までは全く無かった魔物による外部からの襲撃が多くなった。
人間離れした身体。全身を覆う体毛。むき出しの牙。大きな角。
国家親衛隊は、魔物の襲撃に対し兵器で応戦した。
しかし、魔物達が使う『魔法』の前では、兵器など全く敵わず、多くの犠牲も出た。
魔物からの襲撃を受け始め100年……
人間暦1108年。
王国北部地方『エルフ』の更に北部『エルフ極地』の海岸に、魔物が一匹打ち上げられているのが発見された。
その知らせが国家親衛隊に入り、すぐにエルフ極地へと向かう。
浜辺に打ち上げられていた魔物は、耳が尖っているという点以外ではほとんど人間に近い外見だった。
その体には大きな傷があり、国家親衛隊が駆けつけたときには既に瀕死の状態で、意識を失っていた。
『これなら犠牲者を出さずに殺せる』『気を失っている間に殺してしまおう』
親衛隊の隊員みんなから『すぐに殺す』という意見が出ながらも、当時の隊長であり国王のシャイン・スピーゲルだけは違った。
『すぐに助けなくては、死んでしまう。早く救護を』
その場にいた隊長全てが、シャインの言葉に驚いた。
どうして助けるのか。相手は魔物だ。今すぐ殺すべきだ。
いろんな声が聞こえる中、シャインが一括。
『この魔物は何も悪いことをしていない。ならば助けて何が悪い?この国にいる者を助けるのが、我ら国家親衛隊の役目だ』
確かに、その辺り一帯に魔物が暴れた形跡は無く、『耳の尖った魔物の襲撃があった』という報告も入っていなかった。
国家親衛隊はすぐに耳の尖った魔物を保護し、国家親衛隊本部…王国の城へ運んだ。
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