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本部の医務室に運ばれた魔物は、当時の最先端の治療を受け、何とか一命を取り留めた。
治療のさい一番驚いたことは、その魔物の血管,骨,内臓の位置や形がほとんど人間に近かったこと。
魔物が意識を戻したのを確認すると、シャインが治療室に入りこれまでの経緯を説明した。
浜辺に打ち上げられていたこと。傷が酷かったので治療をしたこと。
魔物がいつ暴れるのかわからないので、治療室の周りには国家親衛隊が武器を持ってシャインが話しているのを見ていた。
すると、魔物が口を開いた。
『ありがとうございます』
シャイン達は驚きを隠せなかった。
まさか魔物が言葉を話せるとは、思ってもいなかったからだ。
『私の名はクレハ。私が住む世界で罪を犯し、海に流されました。この傷は、そのとき受けたものです』
『…どんな罪を?』
シャインの質問に、魔物は少し間を置いて答えた。
『…夢を見ていたのです』
『夢?』
『向こうの世界には、夢があった。それを手に入れようとして、罪を犯したのです』
魔物の言っていることが、シャイン達は理解出来なかった。
『助けていただきありがとうございます。せめてものお礼に……』
そして、魔物は更に周りを驚かせる。
『私を…食してください』
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