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その言葉に、誰もが耳を疑った。
食す…この魔物を食べるということ。
『我々は魔力という特別な力を持っています。それに加え、我々は種族によって特別な能力があるのです。私の能力は…自分の魔力を分け与えること。私を食せば、あなた方も魔法が使えるようになります』
加えて魔物は喋る。
『私はあなた達がいなければ死んでいた。祖国には帰れない。なら…せめて最後に、あなた達の役に立たせてください』
そう言って目を閉じ、小さな声でこう呟いた。
『…あなた達が、心優しい生き物だとは知らなかった』
人間暦1108年5月22日───
この日、魔物『エルフ』の肉を食べた64人の国家親衛隊は、魔法が使えるようになった。
使える魔法は人それぞれ違い、全部で五種類。
火,水,風,闇,光。
この五つは、エルフが使えた魔法。
それぞれどの魔法が使えるかは、髪の毛を見ればすぐにわかった。
火は赤、水は青、風は白、闇は黒、光は金。
エルフを食べてまず変化が起こったのは、それぞれの髪が変色することだった。
魔力のおかげで人間の文明はより進歩し、生活は便利になった。
しかし、魔力を得て良くなったばかりではない。
それを悪く利用する人も多く出てきた。
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