温 Side

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階段を駆け登り、部屋のドアを勢い良くバタンッと閉めた。 …もうっ! お母さんも涼ちゃんも、二人して同じ事言うんだから…。 ぼふっとベッドに俯せになり、枕に顔を埋める。 小さく溜め息をついた後、ズボンのポケットから携帯を取り出して開いた。 そして今日登録したばっかりの彼氏の電話番号を画面に表示させる。 【渡辺 太一】 090―40××ー13〇〇 「わ・た・な・べ・た・い・ち」 意味もなくフルネームを唱えてみる。 同じ会社でなんとなく交流はあるものの、どういう人なのか実はあんまり知らない。 でも “取り合えず付き合ってみる” が、私のモットー。 人間の中身なんて付き合ってみなくちゃわからないもん。
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