涼 Side

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“数学の方程式”という単語が頭によぎったお陰で、本屋に行かなくてはいけない事を思い出した。 テスト問題を作るのに、新しい参考書が欲しいと思っていたのだ。 私が勤めている某女子校は県内1・2を争う程の進学校で、授業中も中々小難しい質問が飛んで来たりする。 だから教師の方も予習&復習の日々で、結構大変だ。 私は部屋着とも言えるくらいラフな格好の上に秋用の薄いロングニットを1枚羽織ってごまかし、その辺にあった鞄にお財布だけ入れて家を出た。 駅前の本屋までは徒歩10分くらい。 秋の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで深呼吸し、本屋へと歩き始めた。
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