涼 Side

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「はひっ!」 どこから出て来たのかわからない様な声で返事らしきものをして、呼び掛けられた方をぱっと見た。 私を見て微笑んでいる一人の男性。 は、早坂先生…!! そして私の右手は例の雑誌に伸びている…。 ………神様はとんでもなく意地悪だ。 よりによって今このタイミングで…!? こんな偶然一体どれくらいの確率で起こりえるものなのか、数学の教師をしている私にすら全くわからない。 私がサッと右手をしまうと、早坂先生はたった今まで私が掴んでいたその雑誌をチラッと見た。 当たり前だけど相変わらず表紙にはでかでかと例の言葉が書かれている。 言い訳すら出来ない状況だ。 ああ、私の恋は終わったな…。 そんな事を思いながら宙を見つめていると、 「生徒たちのリサーチですか?」 と早坂先生がその雑誌を手に取りパラパラとめくりながら言った。
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