凉 side

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「彼氏できちゃった!」 双子の妹“温”が幸せいっぱいの満面の笑みで、突然私にそう告げた。 「…彼氏? 温、好きな人いたの!?」 仕事から帰って来たばかりの私は、自分の部屋でもそもそと着替えをしながら温の話を聞いている。 「んー? 好きな人っていうか、ちょっと良いなって思ってたくらいなんだけど…」 そこまで言うと、そこから先の言葉を言い渋りモジモジし始めた。 緩くパーマのかかったふわふわな髪を一束指に巻き弄びながら、聞いて欲しそうな雰囲気を全面に醸し出している。 その先は大体予想出来るけど、…しょうがない聞いてやるか! 着替えを終え、温の横にすとんと腰をおろすと 「『なんだけど…』…?」 と、続きを催促するように聞いた。
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