凉 side

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階段をトントントンとおりて行くと、カレーの良い匂いがしてきた。 手伝おうと思ったけど、もう作り終えてしまったようだ。 大好きなカレーの香りをいっぱいいっぱいに吸い込み、高鳴る鼓動と鳴りっぱなしの腹の虫と共にキッチンに吸い込まれて行った。 「手伝おうと思ってたんだけど、遅かったみたいでごめんね」 サラダの盛り付けをしていた母にそう声をかけると、母は振り向いて 「大丈夫よ。涼は今帰って来たんでしょ? 今日はねお父さんはご飯いらないらしいから、手抜きカレー」 そう言ってペロっと舌を出して悪戯っぽく笑った。 …母、カワユス。
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